作画は大事です。
ストーリーや演出を最大限に引き立てるにはやっぱ高い作画レベルが必要だと思います。
…ってのはタテマエで、このページでは、ルパンにおいて「作画がいい!」(と私が勝手に判断した)作品をコラムとして取り上げて、簡単に紹介していきたいと思います。
<第一回>新ルパンにおけるテレコムアニメーションフィルムの回
新ルパンを見てると、たまに「あれ、なんだか絵がカリオストロの城みたいだ。」なんて思ったことはありませんか?その作品は、カリオストロの城の作画を担当したテレコムアニメーションフィルムのスタッフ構成である可能性が高いです。テレコムが担当した回をご紹介します。カッコ内はクレジットは無いが、参加している人。ほかにも、名前は無いが参加している人がいると見られる。
(多分担当パート順)
児玉兼嗣
児玉兼嗣
児玉兼嗣
児玉兼嗣
コンバット・マグナム
丹内司
児玉兼嗣
丹内司
丹内司
(田中敦子・篠原征子)
丹内司
丹内司
丹内司
(小林弥生・堤 純子・富沢信雄・原 恵子・丸山昇一)
特徴
・吉田しげつぐコンテ・演出が多い。
・児玉作監の回は若干キャラ崩れしてる。
・丹内氏作監の回は北原氏の修正が薄い(あるいは無い)。
・作画における特徴は、キャラが走るカットのテンポが良い。
・キャラの表情に枚数を使っている。
・非生物の動きなどにたくさん枚数を使っている。
・吉田コンテ+丹内の時はカリオストロの城の作画に似てくる。
・他の新ルパン作品よりも1コマ作画が多め。
・ロング(全身)のカットが多い。まールパン作品に総じて言えることですが。
・動画スタッフが5~6人と多い。他の回では3人前後。
解説かも
さて、テレコムの作画回は全部で11作品です。
・初参加の72話「スケートボード~」での原画は六人。彼女達は何れもルパン初参加。この回は大塚康生も参加していたそうです(いろいろ苦労があったようです)。若干ルパン達の顔が違ってましたが、割と動いていました。次元の顔が旧ルに限りなく近いです(笑)
・77話「星占いで~」は吉田しげつぐ氏の初演出作品です(コンテの豊田茂は吉田氏??)。原画の田中敦子さんはルパン初参加です。ちなみに吉田しげつぐ氏は、旧ルパンにて演出助手、「カリオストロの城」にて助監督をつとめています。この回の作画自体はそこまで飛びぬけているわけではありませんが、後半ルパンとゴエの動きがやや良いです。ゴエの作画はたぶん田中さんが担当だと思います。
・99話「荒野に散った~」では初めて丹内司が作画監督を担当しています。そして、名作と呼ばれているこの回の見どころは作画にあります。冒頭のカーチェイス。細かいキャラのしぐさ。ルパンが懐中時計を分解し金貨を五ェ門に切ってもらうくだりは、とても芸が細かいので是非ご確認を。後半の決闘シーン、ストーンマンの狙撃をかわしつつ、銃の部品を拾っていくカットが幾つかありますが、何れも次元の生き生きとした動きを見ることが出来ます。次元が着地しつつ銃をぶっ放すカットは絶品ですね。なお、この作品では、総作画枚数が8000枚・カット数400以上に達したそうです(現在のアニメの1話あたりの枚数は1500~3000枚だそうです)。
・新ルパンも後半143話「マイアミ銀行襲撃記念日」では、脚本・浦沢義雄、コンテ・青木悠三、演出・吉田しげつぐ、作画スタッフ・テレコムという、新ルパンでは唯一の組み合わせが実現します。この回でも、はちゃめちゃな脚本を、作画が見事に引き立てています。テレコム回では友永和秀初顔合わせ作品です。彼の担当カットは、おそらく金庫の性能を不二子が説明する辺りでしょう。ちなみにこの回の作画監督も丹内司ですが、所々青木悠三っぽい箇所もあります。また、テレコム回美術担当の山本二三の背景もとても綺麗に描き込まれています。なんとなく、最もテレコムらしい回のような気がします。
・145話「死の翼アルバトロス」は照樹務こと宮崎駿が脚本・絵コンテ・演出を担当した回。画面構成から作画にいたるまで、見どころ満載です。スキヤキに始まり、ルパンと次元の逃走→アルバトロスとの空中戦、不二子の格闘シーンなどなど、目を離す暇がありません。このクォリティは、世のテレビアニメのそれを軽く越えています。北原健雄氏の修正らしき箇所はありません。ルパンたちの顔は別物です。クレジットにはない田中敦子・篠原征子の二人は不二子の下着を担当したそうです(笑
・151話「ルパン逮捕ハイウェイ作戦」は、ルパンと銭形の知恵比べです。キャラの顔がどんどん新ルパン離れしてますね。ルパンが大声で笑う顔などは極めて特徴的です。北原ルパンに比べ身長も皆心なしか低くなり、次元も鼻が低く、帽子のつばも短めになっています。このストーリーの後半、ルパンがハイウェイの先回りをするくだりは、パート3「死神ガーブと呼ばれた男」でも使われています。どちらの作品もコンテが吉田しげつぐなので似てしまったのかもしれません。この回でも大塚康生が参加しているそうです。
・153話「神様のくれた札束」も、作画の完成度が新ルパンの中でもトップクラスです。銭さんがトイレに駆け込むカットや、五ェ門が札束を切り落とすカット、トラックにワラを積むカット、後半の銃撃戦、細かく描かれた背景など、見どころが多いです。視覚的に賑やかな作品は退屈しないですね^^また、原画には田中敦子、篠原征子が。動画に片山一良が参加しています。この回もルパンたちはカリオストロチック(というより大塚康生風か?)であり、北原健雄氏の修正は皆無のように感じます。クラシック音楽による演出も好きです。
・そして155話「さらば愛しきルパンよ」です。トリは宮崎駿です。美味しいとこばかり持っていきますね。原画スタッフも友永和秀・山内昇壽郎・道籏義宣・篠原征子・田中敦子・柏田涼子と、新ルパンやカリオストロの城で活躍してきたメンバーです。作画はもはや北原氏の修正が皆無で、宮崎+テレコムの様相が非常に強くなっています。その象徴が小山田マキであることは皆さんも御存知だと思います。ストーリーの分析は置いといて、やはり作画の見どころは序盤、友永氏が担当の新宿での戦車出動のくだり。また後半、山内氏が担当の銭形が逃げようとするところや、クレジットには無いが、富沢信雄氏が担当した、銭形ルパンがマキを助けるくだりや、ルパンがナガタ重工のビルに乗り込むくだりでしょう(ここは田中敦子)。主要メンバーの活躍が限られていますが、作画において極めて優れていることは間違いないと思います。ちなみにラストのシーンは宮崎駿と丹内司が担当だそうです。
ここまで纏まった記事(?)は初めて見ました!
自分も「スケートボード~」の回の次元はなんとなく「1st」に近いと思っていたら、案の定、でした。輪郭が1st風なのに、鼻だけ2nd風のトンガリ鼻に修正されているのに違和感を覚えた記憶があります(笑)
wikipediaによれば、マイアミ銀行以降のテレコム回は作画監督が修正を放棄した、とありますから北原さんの修正が皆無、と言うのにも頷けます。
当時のアニメージュでのインタビュー(スタッフ座談会)で、
少なくとも第145話については
「キャラ表はないの」
という発言がありましたね。
152話は?「次元と帽子と拳銃と」は、テレコム作品の気がしますが。
あの話は、朝倉隆作監の回です。よく見ていただければ作画レベルが低かったり、フィアットの絵がガタガタだったりすることが分かると思います。他にも「南十字星がダイヤに見えた」や「毒薬と魔術とルパン三世」等が朝倉作監回です。
スケートボード殺人事件は72話です。